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トルコリラ続落!最近のトルコ情勢についてご説明します

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トルコリラといえば、各FX業者が「1万通貨当たりの必要証拠金が少ない」「魅力的な高スワップポイント」などをポイントとして宣伝し、また日本の個人投資家の方を中心に人気の通貨です。
しかし、そのトルコリラが今年になって下落する一方で、事実ほとんどの個人投資家の方は莫大な含み損を抱えているのが現状です。
この記事では、トルコリラがこのように続落する要因について政治面・経済面両面からご説明します。

トルコリラ続落の理由

トルコリラは2018年に入ってほぼ右肩下がりとなっています。
例えば、対日本円及び対アメリカドルの為替は次のように変化しています。
 
(2018年1月1日)
1トルコリラ=29.7円
1ドル=3.78トルコリラ
 
(2018年5月25日現在)
1トルコリラ=23.0円
1ドル=4.74トルコリラ
 
これは比率でいうと、トルコリラは対日本円では22.5%下落し、また対アメリカドルでは20.2%下落したということを意味します。
主要国の外国為替では、半年に満たない期間でこれほど価格が下落した通貨はありません。
今年になって一時結構下落したように見えるドル円ですら、113円→104円と考えても比率でいえば7.9%の下落にすぎません。
 
トルコリラがこれほどまでに一方的に売られているのは、政治的にも経済的にもトルコリラは諸外国と比べて不安定だからです。
 
まずトルコの政治ですが、今年6月24日に大統領選挙が予定されています。
現職はエルドアン氏ですが、有権者の支持率は50%を超えており、再選が予想されます。
 
この点では、現状維持→不確実性の後退と好意的にとらえられなくもないのですが、トルコはエルドアン大統領の下で現在(2018年5月25日時点)非常事態宣言の下にあり、大統領による独裁が行われています。
 
例えば、大統領が議会の承認なしに法律を成立させたり、国民の権利や自由を制限できるという事態が、現在行われています。
 
一方で経済的な要素は、意外にも2017年と比べて改善しています。
失業率は2017年中には一時13%に迫っていましたが、2018年5月の失業率は10.6%となっています。
ただし、インフレ率は2018年4月時点で11.40%となっており、2017年全体を通じた数値(11.14%)と比較してもほぼ高止まりの状態にあり、深刻なインフレは特に労働者階級の生活を圧迫しています。
 
さらにエルドアン政権はトルコリラの金融政策にも言及しており、中央銀行の行っている利上げ政策を批判しています。
エルドアン氏は利下げにも言及しており、国内のインフレ状況と整合性が取れない発言に対して、市場では急速に不安が広がっています。

www.nikkei.com

焦点は大統領選挙の行方

トルコリラに対する政治的あるいは経済的な懸念は、今年6月24日に予定されている大統領選挙で一つのピークを迎える可能性があります。
 
もしもエルドアン氏が続投になった場合には、かねてよりも中央銀行の政策への批判(利下げの言及など)も相まって、トルコリラは対主要通貨で大幅安になることが予想されます。
 
エルドアン氏の支持率は51.4%となっており、とりわけ排外的な傾向を持つ有権者からの根強い人気が目立ちます。
また同氏は非常事態宣言をもとにして、報道規制や対立候補への圧力を強めており、再選に向けて着々と地盤を固めつつあります。
 
しかし、万が一6月の第1回投票で過半数を獲得できなかった場合には、7月に決選投票となり、政治的なリスクはさらに高まることが予想されます。
 
大統領選挙に向けた思惑は、今後世論調査の発表がなされるごとに加熱していくと思われ、選挙直前にはかつてのイギリスのEU離脱国民投票やアメリカの大統領選挙の時のように、FX会社から警告が来ることも十分ありうるため、細心の注意が必要です。

www.afpbb.com

♦5月23日の緊急会合&緊急利上げについて

トルコリラに関するもう1つのサプライズは、5月23日に行われた緊急会合と、そこで決済された政策金利(後期流動性貸出金利)の13.5%→16.5%への緊急利上げです。
これにより市場は一時トルコリラを大きく買い戻す展開となり、対日本円では22円割れ寸前という水準から24円を上回る水準まで回復しました。
 
このタイミングでトルコ中銀が緊急利上げに踏み入ったのは、5月に入ってからのトルコリラの下落加速から通貨を防衛するためです。
ただ、通貨防衛のために3%という大幅の利上げが十分効果を発揮したのか、というと疑問な点も残ります。
 
例えば対日本円で一時24円越えまで上昇したトルコリラの為替ですが、25日執筆時点ですでに22円台に突入しようとしており、このままでは1週間もたたないうちに元の水準に戻る可能性があります。
 

しかも、中銀は「緊急利上げ」というカードを使ってしまいましたから、もう打つ手はないということを見透かされてさらにトルコリラ安が進行することが危惧されます。

jbpress.ismedia.jp

♦トルコリラのスワップ投資に危険信号

いかがだったでしょうか。
確かにトルコリラのスワップ金額や年利換算は魅力的に見えます。
しかし、トルコの政治・経済情勢は日本にいたのでは想像できる範疇を超えており、しかもまもなく大統領選挙という一大イベントを控えていることを考えると、とてもトルコリラ投資をお勧めできる状況にはありません。
むしろこれからトルコリラのトレードをするのであれば、高いマイナススワップポイントを加味しても売りから入る(トルコリラ円のショート、またはドルトルコリラのロング)ことを検討されてはいかがでしょうか。

www.longamerikastock.com