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高金利通貨に投資してスワップを狙うリスク

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FX投資情報サイト、とりわけビギナーから初心者向けのサイトにおいては、しばしば高金利通貨に投資をしてスワップポイントを狙う投資法が推奨されています。
しかし、その情報をうのみにして実際に高金利通貨を買ってみると、喧伝されているほど儲からなかったり、むしろ価格が下落して大きな損失となってしまうことも多いというのが実情です。
この記事では、FXトレードにおいてスワップ投資を検討されている方を念頭に置いて、スワップ投資を行うことのリスクや注意点についてわかりやすくご説明します。

スワップ投資の罠

ドル円やユーロドル、または豪ドル円やトルコリラ円などの通貨ペアは日々変動しています。
価格変動のトレンドには次の3種類があることが知られており、トレーダーはこの相場のトレンドを分析することによって利益を上げていくことができます。

・上昇トレンド:高値と安値が切り上がっている相場
・下落トレンド:高値と安値が切り下がっている相場
・横ばい・もみあいトレンド:上記2つ以外の状態になっている相場

最後の横ばい・もみあいトレンドは「レンジ相場」と呼ばれることもあります。
ところで、ここに1つ大きな勘違い(先入観)があるように思えてなりません。
トレンドは全部で3種類、ということはそれぞれのトレンドになる可能性はそれぞれ3分の1なのでしょうか。

特にスワップ投資家の方に多いのは「相場が上がるか下がるかを予想するのは難しい。しかし、横ばい(レンジ)だったら結構可能性はあるのではないか」という考え方です。
ここから派生して「相場を予想するのは難しいから、確実に毎日入るスワップ投資のほうが儲かる」という考え方になりがちです。

しかし、よほどの高金利通貨でない限りは毎日の値動きによる損益の変動のほうが、スワップによる利益を大きく上回るというのが現実です。

例えば、日本人個人投資家の方に人気の通貨ペアのスワップポイントを、価格変動換算しますと、次のようになります。
※2018年5月25日時点のSBIFXトレードにおける数値を参考にしています。

・ドル円:約60円→0.6銭相当
・豪ドル円:約45円→0.45銭相当
・NZドル円:約45円→0.45銭相当
・南アフリカランド円:約15円→0.15銭相当
・トルコリラ円:約80円→0.8銭相当

一方で例えばドル円は1日に少なくとも数十銭変動しますので、とてもスワップでは間に合わないというのがお分かりになるでしょう。

fx-meta-hikaku.com
fxtraderseas.com

高金利通貨は本当に「買い」なのか

2008年のリーマンショック前、いわゆる「ミセスワタナベ」の異名をとる日本人個人トレーダーが高金利通貨を買い支えているということで話題になりました。
歴史的な低金利(ほぼゼロ金利)が続く日本の定期預金に見切りをつけて、積極的に海外の高金利通貨に投資をして毎日数千円もしくはそれ以上という金利収入を得ていくことから「これからはFX(外貨預金)の時代だ」という見方が広がりました。

ただ、当時の「高金利通貨」は2018年現在における高金利通貨と若干異なります。
リーマンショック前に高金利通貨として有名だったのは、以下のものです。
※2018年6月時点の政策金利も参考までに載せています。
※政策金利の数値は外為どっとコムのデータをもとにしています。
※参照:http://www.gaitame.com/market/seisakukinri.html

・豪ドル(オーストラリアドル):7.25%
・NZドル(ニュージーランドドル):8.25%
・南アフリカランド:12.00%
・イギリスポンド:5.00%

上記の高金利通貨がリーマンショックまでほぼ「買い専用」通貨として知れ渡っていましたが、それがリーマンショック後にどうなったかは明白です。

例えば日本人に最も人気の高い豪ドルは、2008年6月1日時点では100.8円でしたが、2009年1月1日時点のレートは63.2円と、およそ4割も下落しています。
こうなっては、いかに高金利通貨といえどもスワップで穴埋めはできません。
またFXの場合はレバレッジを掛けて資金以上の取引ができるため、途中でロスカットになったり、口座残高がマイナスになってFX会社に負債を負った人も少なくありませんでした。

hikakujoho.com

低金利通貨は本当に「売り」なのか

スワップ投資で最大限の利益を得るためには、高金利通貨を買うとともに低金利通貨を売る必要があります。
日本の場合は、自国の通貨(日本円)が超低金利(2008年6月の時点ですでに0.50%)ということから、あまり意識することはありませんが、それ以外にはスイスフラン(2018年5月時点でマイナス1.25%)がマイナス金利通貨として有名です。

しかし、リーマンショックの例を見れば明らかなように低金利通貨が必ずしも通貨安になるとは限りません。
日本円は、しばしば安全資産といわれています。

経済的ショックが発生した場合や、戦争・紛争などの特定地域の抱える社会的・軍事的な危機(地政学リスク)が発生した場合には日本円が急速に買われる傾向があります。
最近ではイギリスのEU離脱国民投票によって、対ポンドを筆頭に全主要通貨に対して円高となったり、北朝鮮のミサイル発射を受けて円高になるなどしてきました。
このように円高になった理由としては、

①すでにある日本円売りのポジションを、リスクが発生したために決済した。
②地政学リスク=円買いということで反射的に反応した。
③上記2つの動きによって、ほかのポジションのストップロス(損切注文)が約定して、円買いの動きがさらに加速した。

というものが考えられます。

また、特に事件が発生していなくても、2017年にゼロ金利政策を実行中のユーロが利上げを実施中のアメリカドルに対して大幅に値を上げたこともあります。
さらに、スイスフランでいえば2015年に発生したスイスフランショックでは、スイスフランが短時間で大暴騰し、スイスフランを売っていた多くの個人投資家を壊滅させました。

このように、低金利通貨=売りという図式は、あまり信じないほうが良いといえます。
むしろ、相場にトレンドが発生した場合には積極的に高金利通貨を売って低金利通貨を買うという姿勢も重要です。

jp.reuters.com
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スワップ投資を貯金感覚でやると失敗する

いかがだったでしょうか。
スワップ投資というと「毎月コツコツ」「低資金から誰でも始めていける」「貯金のようなもの」という誤った認識が広まっています。
しかし、FX投資はあくまで価格変動をとらえて利益を得ていくということが第一であり、貯金感覚で高金利を求めて行うとほぼ必ず失敗します。
特にFXビギナー・初心者の方は、スワップ投資のほうが普通のトレードより簡単であると思われるかもしれませんが、実際にはむしろ反対であるとも言えます。
FXで利益を上げる方法はあくまでトレンドフォローにあると考えてください。