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ECB発表でユーロが急落した理由を解説します!

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6月14日のECB理事会において、発表後まもなくユーロが急落したことを受けて驚いた方も多いはずです。
前日のFRB(アメリカ連邦準備制度)の利上げによっても相場は大きく動きましたが、ECB(欧州中央銀行)理事会の発表のインパクトはそれを大きく上回るものでした。
この記事では、ECBの発表によってユーロが急落した理由とともに、最近ユーロが軟調な理由や、イタリア政局不安などのそのほかの要因がユーロ相場にどのように影響するのかということについて、ビギナーの方や初心者の方にもわかりやすくご説明します。

ユーロが最近下落している背景とは

ユーロ相場といっても、実は対日本円だけではなく、対米ドルや、対イギリスポンドなど、さまざまなものがありますが、この記事においては主に対米ドル(つまりユーロドル)を前提として話します。

ユーロドルといえば、年初にはトランプ大統領のリスクによってドルが売られたことや、早期の緩和政策解除などが理由付けとなって、大台であった1ユーロ=1.20ドル台を突破し、1.25を超えるところまで上昇しましたが、4月中盤以降相場が崩れ始め、一時1.15台まで下落する場面もありました。

このように、ユーロが最近軟調な理由は、主にECBの金融政策とアメリカのFRBの金融政策との乖離が意識され始めたことにあります。
為替相場は様々な要因によって動きますが、第一には各国の中央銀行の政策金利が大きく影響しています。

つまり、金利が今後も上がっていくことが見込まれる通貨は買われ、逆に低金利になることが予想される通貨は売られていきます。
ユーロが、2017年に大きく上昇したのは、ECBが現在行っている金融緩和政策を転換させて、近いうちに利上げをするのではないか、という見立てがあったからです。

また、その背景として2017年はドイツなどの経済指標が良好であったことなどが挙げられます。
※例えばドイツの鉱工業生産は、ユーロ安などを背景に2.0%前月比増となる月もあるなど良好でした。2018年1月も3.1%増と良好でしたが、そこから前月比マイナスの月が連続するなど、不調となっています。

しかし、2018年に入ってユーロ高になったことや貿易戦争など世界的なリスクが高まったことを背景にして、ドイツをはじめEU諸国の経済指標はあまり良好とはいえない状況になり、ECBは早期の緩和政策の終了を見送るのではないか、という見方が強まりました。
一方で、アメリカは順調に利上げを勧めていますから、米欧の金融政策の差が鮮明となり、ユーロを売ってドルを買う動きが強まり、結果的にユーロドルは大きく下落するトレンドに入ったということです。

kabumatome.doorblog.jp

6月のECB理事会でユーロが急落した理由

このような流れの中で6月14日のECB理事会を迎えます。
ECBの金融政策自体は、政策金利を据え置くことが予想通り発表され、それ自体は全くサプライズではなかったのですが、同時に発表された将来の金融政策の見通しが市場の予想を大きく下回るものでした。

緩和政策のうち、QE(債券購入)に関しては年末まで月額150億ユーロ(これまでは300億ユーロ)と、ほぼ市場の予想通りでしたが、その後の利上げプロセスに関しては2019年夏までは利上げはないことを発表しました。
※発表の瞬間、少しだけユーロ高になったのはQEの終了時期に関する反応だったと思われます。
 
市場は、2019年の早い段階での利上げを期待していたために、ECBの発表に対しては大きな驚きを示して、ユーロはみるみると下落していきました。
ユーロドルは1.18ドル台から、断続的に下げ続け夜が明けるころには1.15ドル台まで急落しました。

ここで、対米ドルの組み合わせであるユーロドルを取り上げたのは、金融政策の相違が最もはっきりと表れる通貨ペアだったからです。
 
アメリカは、周知の通り2018年中にはあと2回(0.25%×2=0.50%の利上げ)、また2019年にも複数回の利上げ(2019年夏までにさらに0.25%の利上げ?)を見込んでいることから、両国の金利差はさらに拡大していくことになります。

今回のECBあるいはFRBの金融政策発表によって、ユーロドルの下落方向へのトレンドは決まってしまったということもできそうです。

www.sankei.com
toyokeizai.net

イタリア政局不安などのリスクとECBの金融政策

為替相場が変動する理由として、中央銀行の政策金利だけではなく「地政学リスク」というものもあります。
地政学リスクとは、ある国に存在する政治的・軍事的な問題のことを指しますが、EUでは少し前までイタリアに関心が集まっていました。
というのは、イタリアはEUの求める緊縮財政(収入を増やし、支出を減らす財政)に反して、労働者に対するバラマキ政策を行おうとしているからです。
しかし、イタリアの政局不安がただちにECBの金融政策に影響していくか、ということについては現時点でははっきりしません。

もちろん、今後イタリアがEU離脱を掲げるなどの動きに出れば、ユーロ全体のリスクとなり、ECBの緩和的な政策がさらに継続することも予想されるようになるでしょうが、現時点ではEU国内は政治的にはそこまで混乱していないというのが現状です。
政治リスクとしては、むしろ対イギリスでのEU離脱交渉のほうが重要だといえます。

ユーロはしばらく上値が重い可能性

いかがだったでしょうか。
今後もECBの金融政策に対しては、毎回に理事会発表に加え、ドラギ総裁をはじめとするECB理事会の方の発言にはしっかりと気を付け、必要に応じてポジションをとっていく機動性が重要になりそうです。
トレンドとしては、現状はユーロ安ドル高ですから、よいところでユーロドルを売ることができれば、そのままポジションを長く持ち続けることで利益を伸ばすことができるでしょう。

www.nikkei.com